・・・2020年01月21日更新
ちょうど1年くらい前の出来事です。寒くて人通りも少ない2月のある日曜日。時刻は夕方6時頃でしたでしょうか?市役所の職員を名乗る1人の男性がお店にやってきました。彼は持参したチラシをカウンターに並べ、こんな事を言いました。
「こんど狭山市で中小企業や小規模事業者を対象とした無料のコンサルティング相談所、Saya-Biz(さやびず)を開設します。つきましてはそのオープンに先駆けてシンポジウムを開催しますのでお越しいただけないでしょうか?」
「怪しい・・・」
そもそも市役所の職員が休日の夕方に働くわけがないし(個人の感想です)、高額イメージのコンサルティングが無料って・・・もしかして適当にコンサルティングして財務データを転売するとか?本当に市の職員かも怪しいし、アレ?この人、首から市職員の身分証みたいなものまでぶら下げて・・・おや、名刺まで出てきた。偽造かな?最近の詐欺は随分と手が混んでるなぁ・・・もうこんな時間だし適当にあしらって帰ってもらおう。
怪しい要素だけで数え役満の彼についてはたしかそんな印象でした。
そして警戒モードで完全防御体制の僕と、自称「市職員」の彼とのやりとりは次のような感じでした。
僕「行政が無料コンサルティングなんて面白い発想ですけどモデルケースは存在しますか?」
彼「ハイ!静岡県は富士市のf-Bizを筆頭に岡崎市のOka-Biz、福山市のFuku-Biz、天草市のAma-Bizなど、全国で十数ヶ所存在します。関東では木更津についで2ヶ所めです。」
僕「失礼、それは勉強不足でした。で、どのような方法でコンサルティングを行うのですか?」
彼「ハイ!財務分析などで企業を診断して問題点を指摘する一般的なコンサルティングとは異なり、お金をかけずに知恵を出し、経営者が気付かない企業の強みを捉え、もっと輝ける方法を具体的に提案していきます。」
僕「ほう・・・で、その相談員はどういった方々で?」
彼「ハイ!このプロジェクトの公募に295名の応募があり、厳しい選考会を経て2名を採用しました。ビジネスの最前線で活躍するスペシャリストです!」
僕「財源は?」
彼「ハイ!税金です。市民の暮らしを良くする為のサービスや様々な整備に使われている税金を、今回のようなプロジェクトで地元の企業や事業者にも還元しようと。」
僕「正直、無料というキーワードには敏感に拒絶反応が出ますし、企業側にリスクやデメリットが無い時点で得られるものも計り知れると思います。逆に行政のメリットは?」
彼「ハイ!狭山市の中小企業や小規模事業所がこのプロジェクトを通してもっと元気になってほしいんです。」
僕「・・・?! なるほど、このプロジェクトによって狭山市の中小企業や小規模事業所の売上が伸びたり、成功しそうな起業が増えれば、結果的に市の税収も上がり、将来的には雇用の創出につながるかもしれない、言わば先行投資的な感じですかね?」
彼「ハイ!そのとおりです!」
僕「でもね。そんな大規模で素晴らしい取り組みを今あなたの口から聞くまで地元の僕が知らないなんておかしくないですか?もっと周知されて然るべきだと思うんですが?」
彼「そうなんです!行政は宣伝がヘタなんです!」
僕「笑」
ここで僕はこの人が本当に市の職員さんだと確信しました。自称「市職員」の小形さんは紛れもなく狭山市役所の産業振興課で働く職員さんで、今回のプロジェクトに深い感銘を受け、一人でも多くの方々にシンポジウムへ来てもらうべく、自らの足で一軒一軒訪問し、時には冷たくあしらわれ、時には門前払いを受けながらも、狭山市の活性化の為に日夜頑張っていたのです。およそ市役所の職員らしくない小形さんの頑張りに僕も共鳴し、Saya-Biz(さやびず)のお世話になることを決めました。
昨年4月のサービス開始からこれまで6〜7回相談に訪れ、様々な意見や分析、新しい取り組みの提案などをいただきました。友人や親族ではなく、ビジネスのプロからの客観的な意見は特に貴重で、自分では俯瞰的な視点で捉えているつもりでも、別の角度から見てもらうと意外に狭い視野だったという事に気付かされます。自分の会社やお店の問題点が顕在化している人も、もはや何が解らないかも解らない人も、ぜひ訪れて様々な想いを吐露してみてください。きっと相談員の方々が見えない扉を開けてくれると思います。
※画像はウチを担当してくだっさている小林センター長さん熱弁の様子。
Saya-Biz(さやびず)のホームページ https://saya-biz.jp/